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毎日新聞の「ガザ・ルポ」

ヤシン師暗殺の翌日、押し寄せた報道陣は珍しくするりと皆、ガザの中に入れたという知らせが現地から来ている。そういう中のひとり、毎日の樋口直樹記者はさっそく何本かの記事を書いていて、先ほど「揺れるガザ地区をルポ」という記事がウェブ上に掲載されているのを読んだ。エルサレムの支局に「おこもり」していないだけ、エライとは言えるが、記事の内容ははっきり言って、ひどい。

ガザ南部のラファでイスラエル軍が言うところの「密輸」トンネルがみつかったというシーンがいきなり冒頭に登場してくる。

「「ここだ。あったぞ」。暗闇の民家の中でイスラエル軍兵士が声を上げた。部屋の隅には地下へと続くトンネルがポッカリと口を開け、内側には昇降用のハシゴの一端が見える。ガザ地区ラファのパレスチナ難民キャンプで行われた密輸トンネル摘発の瞬間だ。」

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20040327k0000m030103001c.html

すごいね、トンネル摘発のその現場に立ち会うなんて。まさに報道陣を待っていたかのようにトンネルが発見されている。それを事実だからとそのまま書いたわけだ。

この記事によるとイスラエル軍報道官は「80ものトンネルをみつけた」と語ったらしいが、それはどこで裏付けが取れているのかな。そして、ラファで壊されてきた家900軒は本当に壊されないといけなかったのか。全部の家がトンネルを掘っていたのだろうか。

この記事には破壊された家屋900軒(家を失った人9600人)、殺された人300人ということすらも一言も登場しない。それでもって「イスラエル軍のトンネル摘発作戦は危険を極める。」というのはどういうことなんだろう?

それよりも何よりも「トンネル」を掘っていて悪いのだろうか。占領されて封鎖された地区でトンネルを掘って、エジプト側から物資を調達することが、家屋破壊の正当化になるのだろうか。それが正当だと思えるのは、占領者の視点だ。このことについては、もっときちんと(そのうち)書きたい。

他にもこの記事は武装グループが警察よりガザでは力を持っているということがはっきりした最近の事件などを取り上げている。

全部、事実だ。しかし、ある一面だけを取り上げていることは確か。ヤシン師暗殺によって、不安に陥っている人々の声もなければ、空から降ってくるミサイルの恐怖にずっとさらされてきた人たちの声もない。ここにあるのは、危険な連中ばかりがうろうろしているガザのイメージだけ。

パレスチナなどは典型的なんだろうけれど、支局はエルサレムにあって、ラファやナブルスやジェニンなどのいつも、いつも事件が起こるところに記者たちはほとんど寝泊まりしたことがない(というか、まったく行かない人だっているらしい)。「危険なところには行ってはいけない」んだって(大手のメディアでは本当にそうらしい)。だから、現場は後からしか見ない。事件が起きたあとだけ。それも情報源の多くはイスラエル軍報道官か、地元イスラエルか、外国の通信。それは「殺される側の視点」に立つことができない有りようなんだな。基本的に「エンベッド」取材と変わらない「殺す側、力を持っている側に立った」取材。

東京のデスクの手がどう入っているのかわからないから、全部、樋口記者が伝えたかったことなのか、わからないけれど、「これが客観的な記事だ」というなら、そんな客観性を私はごめんこうむる。毎日新聞、解約しよ。(その前にファックスでも送るかな)







|| コメント(2)| Track back(0) | 2004-03-27


■ マスコミ報道の批判に同感する
毎日新聞の現地取材報道に
普通の読者は騙されてしまうでしょう
私も そうて゜あるから
このような 疑問 批判を出し続ける
ことは大切だと思います。
ICHIAKI NASUBI (2004-03-27 13:40:47)


■ 力の非対称
NASUBIさん、コメントをありがとうございます。問題は占領という現実があって、そこには圧倒的な力の差があり(同等の力であればいいのかという問題はありますが)、情報の露出量でもまったく差があるということです。

"journalists have become part of the game of power, instead of monitoring it as they should"
(ジャーナリストは彼らが行うべき監視の役割の変わりにパワーゲームの一部となっている)

[http://electronicIntifada.net/v2/article2545.shtml]
より

このようなことにどれだけ自覚的に記事を書くことができるのかなんですよね。

ビー (2004-03-28 01:32:05)

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