パレスチナ初のミュージカル上演!
毎日、侵攻のニュースが絶えないパレスチナだが、この前の国際映画祭開催に続き、パレスチナ初のミュージカルの上演が先日、あった。どんな中でも自分たちの生活を実現しようと、たゆまぬ闘いを続けるパレスチナの姿を伝えてくれる、友人からのメールをご紹介。"Al-Fawanees"(「ランタン」の意)という題のこのミュージカルは、パレスチナ人作家ガッサン・カナファーニが彼の姪のために書いたという子ども用小説を元にしていて、9歳から15歳までの60人の子どもたちによって演じられた。出演した60人は、エルサレム、ラマッラー、ベツレヘムの500人の応募者の中からオーディションで選ばれたという。
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エルサレムの友人より(8月16日のメールから)
金曜日には、友人と一緒に、ラマッラー文化パレスにて上演された「パレスチナ初のミュージカル」"Al-Fawanees"を観て来ました。
まず、舞台衣装とセットの素晴らしさと美しさに目を奪われます。そして、登場する子どもたちの歌や演技もその質の高さに感心させられます。主人公の幼い王女役の少女は、見事な歌唱力でした。音楽、舞台美術、構成、振り付け、歌、演技、すべての面において、芸術的に非常に質が高く、「パレスチナ初のミュージカル」、それもこのために選ばれた子どもたちによるミュージカルという前知識から抱いていた期待を大きく上回る素晴らしい作品でした。
占領下のパレスチナで、そして占領の歴史において最悪とも言われる辛酸のさなかにあるパレスチナにおいて、このように美しく、誇り高く、そして質の高い芸術作品が、子どもたちによって上演されるとは。パレスチナ社会の深さを突きつけられた感激がありました。
この原作のミュージカル化は、10年前に発想を得て、それ以来温められてきたそうです。紆余曲折を経て、数年前にようやく実現に向けて着手したようです。その頃から、この企画はヨーロッパの各団体からの協力と財政支援を得て、時間をかけて生み出されてきました。作品として仕上げた中心人物は、エルサレムとラマッラーを中心に音楽教育研究所を主宰しているスヘール・クーリーです。この研究所は、ビルゼイト大学に付属しながらも独立機関として活動し、子どもや若者に音楽教育(アラブ音楽およびに西洋音楽)を続けています。指導には、パレスチナ人音楽家はもちろん、海外からの音楽家も参加しています。その彼が、ミュージカルの音楽の作曲と構成を担当したようです。
実は、彼とは一緒に仕事をしたことがあります。その時には遅々として仕事が進まず(まだインティファーダ前)、やきもちさせられました。でも、今思えば、その頃にはもうこのミュージカルに取り掛かっていたはずです。その直後には、インティファーダが始まりました。こうした混乱と悲惨な時期にあっても、この構想は着々と進み、結実したのだということに気付かされ、驚嘆と共に感動せずにはいられませんでした。
また、彼の妻もまた芸術家で、エルサレムで毎年夏に「エルサレム・サマー・フェスティバル」という音楽祭を開催しています。スヘ―ル自身の音楽バンドはその常連で、夫婦による共同の企画と言ってもいいのかもしれません。この音楽祭には、毎年各国から音楽家が参加しています。彼らのこうした国際的なつながりと友情が、今回のミュージカル実現の裏にもあります。
資金援助を主要なヨーロッパの団体から得ただけでなく、ミュージカルでの音楽演奏にあたったのは、ドイツからのオーケストラでした。彼らは上演のためにパレスチナにやって来たのです。その演奏者のひとりには、日本人女性のフルート奏者も含まれていました。また、オーケストラには、地元パレスチナの音楽家も加わっていました。
また、会場となった「ラマッラー文化パレス」についても言及しなくてはなりません。
これは、日本からの全面的支援を得て、UNDP(国連開発計画)によって建設された、750の客席と最新の劇場技術・設備を備えた総合文化施設です。折しも、UNDPパレスチナ事務所は、今年25周年を迎えました。これを祝福する記念行事の目玉は文化パレスの完成でした。7月始めの完成式典をはじめ、25周年記念としてさまざまな企画が文化パレスにて開かれました。例えば、初の「ラマッラー国際映画祭」、そして、「エルサレム・サマー・フェスティバル」の一環としての演奏会。このミュージカルもまた、文化パレスの落成に合わせるようにして上演されたのでしょう。
文化パレスの前の通りは、「東京通り(Tokyo Street)」と命名され、またひとつ、日本による目に見える支援(建物)がパレスチナに誕生しました。(それに比べて、人としての交流が見合っていないのが残念ですね)
軍事占領下、圧倒的な犠牲を強いられているにも関わらず、パレスチナでは毎日様々な活動が繰り広げられています。とにかく活発、常に何かが起きています。なぜ、こんなに人々が明るく、笑顔と元気に溢れ、市場は人でごった返しているのかわかりません。
カランディア検問所での爆破事件とそれに対するイスラエルの制裁攻撃を受けて、「検問が強化された」と報道された金曜日、西岸各地の道路では、パレスチナ人の車が精力的に動き回っていました。
土曜日のアラブの衛生放送によれば、封鎖が厳しいナブルスで、地方選挙に向けた選挙活動をする男女の様子を伝えていました。
これだけ痛めつけられているはずのナブルスで、若い男性と女性がそれぞれ選挙参加などを訴えるTシャツを着て、ポスターやチラシなどでキャンペーンをしているのです。イスラエルの存在、嫌がらせなどとは別に、彼ら自身の生活、社会は着々と続けられています。凄すぎる。
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このミュージカルについてのハアレツ紙の記事
Lanterns' light up Ramallah
http://www.haaretz.com/hasen/spages/464092.html
なかなか良い記事です。パレスチナの子どもたちが学校で音楽教育を受けていないことを、この記事が思い出させてくれました。けれど、ミュージカルの歌の質はベテランのコーラス隊と思わせるほど高かったこと、とくに主役の王女の歌は感動的だったことが書かれています。上演は近隣の町のみならず、離れた町に住む子どもたちもバスでやってきて、毎度満席。老若男女を問わず、たくさんの人が楽しんだことも書かれていました。また、偶然の一致でしょうが、ストーリーは「壁を壊す」ことでいっきに良い展開がなされるというもの。これはたまらない内容。
|| コメント(0)| Track back(0) | 2004-08-18
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