アラブの「スーパースター」王座は誰の手に?
パレスチナで今、話題沸騰なのが政治犯たちのハンストとレバノンのテレビ番組『スーパースター2』なのだと、エルサレム特派員(ちょっとウソ)からメールが届いている。『スーパースター2』はアラブ圏で広く見られている歌手のコンテスト番組で、日本の『スター誕生』に近いもの(もっと格式が高いのだそうだが)。1年をかけて行われてきたコンテストで、最後の決勝ステージに残ったのが、パレスチナ人のアンマール・ハッサンとリビア人のアイマン・アラータル。パレスチナではこの日曜(29日)に発表される優勝の行方に目が釘付けだという。この番組はアラブ圏で相当な人気を博しているもので、『アメリカン・アイドル』(って、米国の番組なのだろうか?)のアラブ版。エルサレム特派員の報告によると、ステージが進むにつれ、ポップス風のものから古典とされているような本格的なアラブ音楽に主流が移り、歌手のレベルもすごく高いらしい。
勝ち進んできたパレスチナ人のアンマールさんが、レバノン人歌手フェイルーズの名曲『エルサレム(アル・クッズ)』を歌ったときには、会場の人は涙を流し、西岸の難民キャンプ住人たちも感極まっていたと特派員は書いている。確かな歌唱力、素晴らしい歌声に特派員はさっそくCDを買ったそうだ(他の参加者のCDも販売されている)。
この番組の優勝は、電話とインターネットの投票で決まるということになっていて、アンマールさんの母校、ナブルスのアン・ナジャー大学でも封鎖や侵攻にも関わらず応援企画をしているし、故郷の西岸サルフィットでは役所に25台の特設コンピューターを置き、投票を後押ししている。さらにパレスチナの携帯電話会社は料金のディスカウントも始めた。携帯電話会社の役員は「前にもパレスチナ人が『スーパースター』に挑戦したけれど、そのときはディスカウントはしなかったよ。これはアンマールが素晴らしい歌手だからなんだ」と話している。
アンマールさんの応援に盛り上がる人たちがいる一方、このようなことを快く思わない人たちがいるのも事実だ。ラマッラーではこの番組に反対する若者たちがタイヤに火をつけるなどの行動に出た。「政治犯がハンガーストライキをしているような時期、占領に対して必死の闘いをしている時期にふさわしくない」という理由からのようだと特派員は伝えている。第一次インティファーダ中に婚礼などお祝い事を控えたという心理に共通するところもあるのか、それとも、「歌番組で浮かれる」ということが、軽率、かつインティファーダへの冒涜と捉えられているのか、と特派員は書いている。
アンマールさん自身は「歌うことは僕自身の闘いの方法だ」「占領下で毎日苦しめられている人々もアートを楽しむことができることをみんなにわかってもらえたと思う」と語っている。アラファト議長はアンマールさんを讃え、クレイ首相も激励のメッセージを送ったということだ(お二人とも抜け目なく)。
歌は歌だ。誰かに感動を与えるなら、それでいいじゃないか。屈辱だらけのパレスチナで、みなを励ますことができるのなら、それはすごいことだと思う。
しかし、この番組とアンマールさんを取り巻く状況を冷静に書いた記事なども悪くはない。エレクトロニック・インティファーダに掲載された「Reality Check for "Palestinian Idol"」(Charmaine Seitz)アンマールさんの写真も。
http://electronicIntifada.net/v2/article3039.shtml
ハアレツの記事はアンマールさんへのインタビューなどが中心。
http://www.haaretz.com/hasen/spages/467937.html
『スーパースター2』の投票サイト(最初にメールアドレスを送り、パスワードを受け取ってから、投票)
http://www1.futuresuperstar.com/vote/VotingMainForm.html
アンマール・ハッサンはヨルダン川西岸地区サルフィット出身。ナブルスのアン・ナジャー大学で音楽を学び、合唱団に属していた。歌手として生きるために5年前からUAEに在住。
|| コメント(0)| Track back(0) | 2004-08-27
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