シャロンが掘り返した穴 多様なユダヤ人(長文)
「文化的相違に基づく誤解だ」とイスラエル政府はフランスに弁明をしているようだが、フランスも「はいはい」と引き下がる気配はない。イスラエルにとって外交的にはマズイ状態なのだろうが、私はフランス政府との問題より、ユダヤ社会に引き起こした波紋のほうが根は深いと思ったりしている。「フランスにいるユダヤ人はいますぐイスラエルに移れ」発言のこと。そう言われたフランスのユダヤ人団体のヘッドは「受け入れられないやり方をして、シャロンは火に油を注いだ」などと発言したが、さらにこんな発言も出ていた。
「私たちのことを決めるのはシャロンではない!」(テオ・クライン、フランスユダヤ人協会会長)
米国の反シオニズム・ユダヤ人グループもすかさず、フランスのユダヤ人たちの態度を支持。「シャロンの発言に唖然としている指導者たち、フランスのユダヤ人コミュニティをサポートする」と言って、「シャロンはユダヤ人が平和に暮らすのはイスラエルに移住することだと言って、ユダヤ人世界を脅迫し続けている」と発表した。(ビクトール・カッツ、True Torah Jews代表)
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「ユダヤ人だけのための国家──イスラエル」(シオニズムですね)は、アラブ世界との軋轢はもとよりユダヤ人社会においても齟齬を来している。少数だがこのような国家を認めないユダヤ人と、「イスラエルがあることで安心な感じがするけれど、自分はそこに住む気はない」というユダヤ人と、イスラエルに住むユダヤ人という3つのユダヤ人を出現させることによって(超・大雑把な区分けだと)。今回のシャロン発言はその真ん中の微妙なラインにいる人たちに刺激を与えてしまった。
一昔前はイスラエルに移住してこないユダヤ人を苦々しく思う風潮がイスラエルには強かったという(それどころかホロコーストの犠牲者に対しても、「イスラエル建国のためにパレスチナにやってこず、ヨーロッパに居続けてそんな目にあった」と非常に冷たかったそうだ──このへん『エルビス・イン・エルサレム』トム・セゲヴより)。しかし、実際に米国に居住しているユダヤ人からのサポートはイスラエルに不可欠なもので、このへんの亀裂をぼやかす形で、イスラエル内と外のユダヤ人が調和をとっているかのような雰囲気が醸成されてきた。
イスラエルは「全ユダヤ人を代表/表象する(Represent)」するものであるフリをし続けてきたと言ってもよいのだと思う。
だけれど、2000年以降、とくに2002年の大侵攻以降、イスラエルが行う残虐な行為に対する違和感は、どんどん外のユダヤ人社会で増していった。米国では「Not in My Name」というシオニストも反シオニストも加わったイスラエル政策批判のグループが生まれたりした。それがここへ来て、ブッシュ政権の戦争を米国でもはっきりと批判できる流れになり、さらに加速化していると感じる。『二分される米国ユダヤ人社会』というようなタイトルの文章も先頃、発表された。シャロン政権にすべてyesというユダヤ人とそうでないユダヤ人との暗闘(?)が米国内でだんだん顕著になって来ているという。
イスラエルの政策にはっきりと反対しない層のなかにも「なんだかねぇ。あれはやりすぎだわ」という感情が強くなってきているというのはあるのかもしれない。シャロンが引き出してしまった「私たちのことを決めるのはシャロンではない!」という言葉は「イスラエルは私たちを勝手に代表するな」という隠れていた感情の表れだと考えられる。これはシャロンにとっては誤算だと思うのだが、どうなんだろう?(しかし、このヒトは計算高いので、他の目論見があったのかもしれない)
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今回、シャロン発言に反旗を翻した人々は「シオニズムとユダヤ主義を分けて考えて欲しい」「イスラエルの行うことでユダヤ人を判断しないでくれ」と言っている。ごく真っ当なことだと思う。まずはイスラエルを批判するユダヤ人を他のユダヤ人が「自虐的ユダヤ人」などと非難できないようになることを!(これは人ごとじゃないと思うんだよね)
ウリ・アブネリは「反ユダヤ主義」とイスラエル批判の関係をかなり書いてきたが、新しい文章が先頃、発表された。至極明解だ。
http://www.counterpunch.com/avnery07192004.html
The Hoax of Paris / Uri Avnery
「イスラエル内のユダヤ人が世界のユダヤ人に親密な愛情をもち、世界のユダヤ人がイスラエルに親密な愛情を持つのは真実だが、だからといって、世界中のユダヤ人が自動的にイスラエル政府をパブロフの犬状態で支持しないとならないのではない。それはイスラエル政府にとっては都合が良いことだが、イスラエルにとっては必要な善ではなく、ユダヤ人にとってははっきりと悪いことなのだ」
邦訳されているアブネリの『反ユダヤ主義 Q&A』はこちら。
http://www.onweb.to/palestine/siryo/avnery-antisemitism.html
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昨日、超・面白い文章を読んだ。イスラエルの元祖・兵役拒否者で、本人曰く「平和主義者で、反軍隊主義者で、アナーキストで、反シオニストで、ヴェジタリアンで…(他にも何かあったかも)」という方が先日、ハンガリーで亡くなられたのだが、その人の自伝的文章。何時間、読んでいたかなぁ(英語を読むのがしんどいせいもあるが)。
生地ハンガリーのゲットーでの体験、イスラエルに移住してからの違和感や反抗(これが10代前半の話!)などがかなり事細かに書かれているが、それが飄々として、突き抜けた軽さを持った文章だった。こういうのを紹介したいなぁ。(まずは自分がもうちょっと理解をするのが先決だ)
|| コメント(2)| Track back(0) | 2004-07-21
| ■ フランスから200人が移住〜BBC記事 | |
| ビーさん,こんにちは。 さっきBBCのサイトを見ていたら,フランスから200人がイスラエルに移住したという記事がありました(28日付け)。 Israel takes in 200 French Jews http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/3932313.stm 記事中には移住した人々の言葉は紹介されていないのですが,シャロンの言葉が紹介されています。いわく,"Jews must come to Israel not because of hatred or fear. Jews must immigrate because it is their homeland" とのこと。 また他の記事を見かけたらコメント欄に参上します。 | |
| nofrills (2004-07-29 11:43:14) |
| ■ いつもより少ない、、と | |
| APかAFPの記事で見ましたよ〜。そちらにはシャロン発言の後の今回の移住は今までの人数より減ったとありました。このところ、「移住者おいでおいで月間」が催されているようで、先日はNYからも多くのユダヤ人が移住してきてました。 | |
| ビー (2004-07-29 14:28:06) |
